2020年11月時点で取得できるデータを元に経済状況をまとめます。11月は順調に回復してきた米国ですがコロナ感染再拡大でやや回復が鈍化しています。
経済全体
2020年第3四半期(7-9月)の実質GDP成長率は、前期比年率+33.1%でした。

成長率自体は過去最高でしたが、これは比較対象の第2四半期がロックダウンで大きく落ち込んでいたからです。決して景気が良いわけではないです。やっと底打ちしたってところでしょうか。
なぜ成長率が高かったかというと、個人消費が持ち直したからです。
図の棒グラフの部分が今期の成長にどれだけ貢献したかと示していますが、赤い個人消費が7割以上を占めています。
消費
個人消費ですが、今はモノは買われているけどもサービスにはあまり消費されていません。

折れ線グラフは、個人消費を財(モノ)の消費とサービスの消費に分けたものです。比較しやすいように2019年第1四半期を100にしています。
これをみると、モノの消費はコロナ前を上回っていますが、サービス消費はコロナ前を下回っています。
モノはネットとかでも買えますし、在宅勤務の普及等でPC需要が増えるなど恩恵を受けているところがあります。
一方、飲食・レストラン・旅行などのサービス消費の多くは実際に外出しないといけませんからコロナ禍で消費されにくいのです。
雇用
雇用はまだ相当悪いです。が、回復ペースは悪くありません。
失業率は6.9%まで下がりました。FRBの見通しでは今年の第4四半期の平均が7.6%ですから、それを既に下回っています。

企業活動
生産はまずまずといったところです。

やや伸びが弱いような気がしますが、他のデータをみると一応回復の勢いは続いているようです。
ISM景況指数という企業に前月よりも企業活動が良くなったかアンケート調査するものがあります。10月の製造業の指数は59.3と前月の55.4から上昇しました。
50を上回ると前月よりも良くなっていると回答した企業が多いことを意味します。なので製造業は10月も回復を続けているということです。
ちなみにISM景況指数はサービス業もあり、10月は56.6で前月の57.5から低下しました。一応50を上回っているので回復は続いています。
気になるデータ
これまで見てきたように割と順調に回復してきた米国経済ですが、現在も感染者数が再拡大しています。
11月に入ってから州によってはレストランやバーなどの営業制限が再導入されました。こうした影響がどのようにでてくるか注意深く見る必要があります。
そこで参考になるデータを紹介します。Googleの位置情報を使って外出している人の量を計測したデータです。

これをみると感染が再拡大した10月以降小売店や娯楽施設への外出した人の数が回復していないことが見て取れます。
11月に入ってわずかに落ちてきているようにも見え、今後の消費が弱くなる可能性を示しています。
ワクチンの開発が進んだというニュースもありますが、国民にすぐに行き渡るものでもないですし、感染者数は引き続き注意深く見ていく必要がありますね。
まとめ
・10月までは順調に回復している
・コロナ感染拡大でサービス消費鈍化している可能性が大きい
まとめてみるとまぁそんなもんでしょって感じではありますが、データで裏付けをとることは重要だと思います。
実感とデータがずれていることがあれば、それは相場にも影響する場合もありますので。
定期的にアップデートする予定ですのでよければまた見に来てください!