金融基礎知識

知っておきたい金利と株価の関係

大統領選挙の消化やワクチンの開発進展ニュースで金利が上がり、株価が下落しています。

でもそもそも金利と株価の関係がどのようなものかわからないと、自分の投資をどうしたらいいかわからないと思います。

そこで今回は今注目されている国債利回りの基本を解説しながら株価との関係を見てみたいと思います。

そもそも金利ってなに?

金利には色々ありますが、ツイッターをみていると米国の10年債利回りに言及している例が多いように思います。

ですので、この記事では金利と言えば米国の10年国債利回りを基準に説明していきます

まず国債金利(利回り)とは、国債に投資して得られるお金から計算した利回りのことです。

国債を買うと、1年とか決まった時点で利息がもらえます。あと国債毎に決まった期間(例えば10年間)が終了したら元本も返ってきます。

国債に投資した時のお金の流れを図に表すとこうなります。

利回りの計算は、本当はもうちょっと複雑なのですが、今回は色々と小難しい話がたくさんでてくるので最も簡単な式で表します。算数が苦手な人はわからなくても大丈夫なので読み飛ばしてください。

重要なのは国債の価格が上昇すると利回りが低下し、価格が下落すると利回りが上昇するということです。

分子の利息は固定ですが、分母が市場価格ですので国債の価格が高くなればそれだけ利回りは低下するということです。

国債利回りの変動要因

国債利回りは一般的に次の要素に分解されます。

国債利回り=実質金利+期待インフレ率

実質金利は名目金利からインフレ率(物価上昇率)を除いた金利です。例えば企業の借り入れを考えてみましょう。

100万円借りて利息は5%とします。1年間で返す利息は5万円ですね。借り入れた企業は売上を伸ばすなどして利息分のお金を稼ぐ必要があります。

ここでインフレ率が2%だとします。この企業の昨年の売上100万円だった場合、2%のインフレが起きれば売上は何もしなくても102万円になります。

※価格転嫁可能かとか価格上昇による需要の変化は一旦無視してください。

そうするとこの企業が実力で稼がなければいけない金額は利息の5万円-インフレ分の2万円で3万円になります。これが実質金利です。つまり、物価上昇分を除いて考えた借入のコストです。

国債利回りを考える時の実質金利とは、その国の成長率を指すことが多いです。実質GDP成長率や潜在成長率が多いですね。

つまり、国債利回りとはその国の成長率+期待インフレ率で分解できるということです

国債は、無リスク資産とされています。ここではアルゼンチンとかのデフォルトもありますが、一般的な話として言いますと、政府は破綻しないためデフォルトリスクはゼロです。

その分利息を少なくして借り入れを行えるので利回りは低いです。

では、利回りが低いのに国債に投資する時とはどんな時でしょうか。一番大きな理由は景気が悪い(悪くなりそう)な時です

景気が悪い時は、株などリスク資産に投資していると損失がでる可能性が高くなりますから、元本保証に近い国債に投資してリスクを抑えつつ利回りを確保するというわけです。

景気が良い時は逆に企業は業績を伸ばすでしょうから、利回りの低い国債に投資していると機会損失になります。ですので国債を売って株に投資するわけです。

これがリスクオンで株高金利上昇、リスクオフで株安金利低下と言われる現象の基本的な考え方です。

具体例を挙げて考えてみましょう。

雇用統計を例に挙げます。雇用者数増減が予想よりも上振れたとしましょう。そうすると統計発表前よりも高い経済成長率が見込まれます。

そうすると国債は売られるので価格が低下して利回りは上昇するわけです。

応用編

ここまで読んできてこう思われる人もいるんじゃないでしょうか。

今10年国債利回りの水準って1%弱だけどアメリカの潜在成長率とインフレってそんなに低くないよね?

そうです。昔はけっこう成長率+期待インフレ率で大部分が説明できていましたがリーマンショック以降実際の金利の水準を説明できなくなっています。

理由は色々と言われていますが、景気と関係ない国債への需要が大きくなっていることが挙げられます

具体的には、世界的な金融規制の強化やFRBの大規模緩和です。

貸し出しを行っている銀行は破綻すると経済への影響がとても大きいです。なので一定量のリスクの低い資産を持つ決まりになっています。リーマンショック以降こうした金融規制の強化が世界中で実施されました。

リスクの低い資産とは国債です。自国の国債もそうですが、他国の国債もリスクの低いとみなされます。

従って最も経済規模の大きい米国の国債に世界中から需要が集まります。その結果、米国の経済成長やインフレと関係ない部分で金利が低下しているのです。

また現在のようにFRBが国債を購入している時も成長率と関係なく金利水準を下げている要因と考えられます

株価との関係

前置きが長くなりましたが、株価との関係を見てみましょう。

まずは20年くらいの長期推移を見てみましょう。

出典:Robert Shiller

どうでしょうか。なんとなく金利が上昇している局面では株価も上がっているようにも見えますが、そこまではっきりした関係はないと感じた方もいるのではないでしょうか。

個人的には実際の動きとしていつも明確に関係があるわけではないと考えています

確かに今まで説明してきたように景気が良くなれば株高金利上昇というロジックは、両者の特性を考えれば自然なものですが、相場は他の要因も意識されます。あくまで教科書的に考えればそういう流れになりやすいということだと思っています。

先程までの説明は基本のキなので実際に相場を動かす要因にはなりにくいということもあるかもしれません。

金利上昇→株安じゃないの?

最近話題になっているのは金利上昇で株安になるという話ですよね。確かに金利上昇に反応して株価が下落する場面がありました。

これは、ざっくりいうと低金利になる→企業の資金調達コストが下がる→利益が出やすい→株価が上がるという動きの逆だからです。

個別企業の話でいうとたしかにそうなのですが、先程までみてきたとおり、金利の上昇は景気が良くなってくると起きやすい現象です。我々インデックス投資家は、マクロの視点でも見る必要があるでしょう。

参考として過去にあった景気後退後の金利上昇局面を見てみましょう。

時期としては、FRBの資産購入の減額を示唆した2013年の動きが参考になると思います。

この時はFRBが資産購入の減額を示唆したことをきっかけに10年債利回りが半年間で1.8%→2.8%まで上昇しました。

金融緩和を継続しているはずなのに市場はその先にあるであろう利上げを織り込んでどんどん金利が上がっていったのです。

ワクチン開発期待で金利が上昇し始めた今の状況と似ているかもしれません。

でもこの時は、金利が上昇しても株価は上昇しています。グラフは月ごとの値で作られているので週間ベースや1日毎になおせば株価が調整している場面もあると思います。

でも長期的な目線で見れば株価にとってはそれほど下落トレンドに転換するような出来事ではなかったということです。

これはそもそも金融引き締めに転じられるくらい景気が回復してきたということが理由だと考えられます。

ひとつ気になるのがセクターローテンションの話です。金利が上昇すれば、低金利の恩恵を受けてきたグロース株が大きく調整するということが言われていますね。

こちらもデータで見ていきましょう。

四角で囲んだところが2013年の金利上昇局面ですが、グロース、バリューともに上昇を続けていますね。

ここから言えることは、金利上昇→株価下落は絶対おきるわけではないということです。

金利が上昇するメカニズムを考えれば金利が上昇するような局面は経済環境は良くなっているので株価全体を下落トレンドにするほどのイベントではないと説明できるかと思います。

過去が絶対なのではなく、過去を踏まえつつ、今回の状況を考えることが大事

こういう風に見ていくと金利が上がっても絶対に株価は下がらないんだ!と勘違いしてしまう人がいるかもしれませんが、あくまでも過去は過去。将来の動きを保証するものではありません

過去はどういう動きだったかを踏まえつつ、今回の局面を考えていく必要があります。私は株価の調整は少し大きくなるかもしれないけど、長期のインデックス投資には気にならない程度の調整だと思っています

今回の局面では、金利が過去にないほどの水準まで急低下していること、それに伴って株価が急上昇していることが過去との違いです。下落から上昇のペースが過去と段違いなのです。

そういう意味でこれから金利が上昇する局面では過去よりも調整する動きがあっても不思議ではないと思っています。

でも先程から説明している通り、大きな流れとして金利の上昇は基本的に経済がよくなっている証拠でもありますので、2番底とかそういう大幅で長期的な調整につながるものではないと思っています。

まとめ

・国債利回り=成長率+期待インフレ率(+需給要因)

・金利の上昇は基本的に経済状況がよくなっている時

・過去の株価と金利の関係でいうと金利上昇している時は株価は上昇している

・今回の金利上昇も短期的には株価が下落するかもしれないが、大幅で長期にわたる調整にはつながらないんじゃないか

ここまでお読みいただきありがとうございます。これからもできるだけわかりやすい説明を書いていきたいと思いますのでよければまた見に来てくださいね!

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