大統領選挙もほぼ消化したのでちょっと早いですが、来年の米株見通しを考えたいと思います。結論としては、低金利環境が続き米株は上昇を続けると思います。FRBの金融政策に変更の芽がないかチェックしつつ、着実に買い進めていきたいと思っています。
はじめに
投資するかどうかの決定は自分の判断です。
この記事では私の考えを紹介していますが、この記事を見て何か損失を被っても私は責任をとれません。参考にしてもらえれば嬉しいですが、基本的に鵜呑みにしない方がいいです。
来年の米株投資戦略
私は向こう1~2年は米株が上昇すると思っています。
一番大きな理由は、FRBの低金利政策の継続です。コロナ禍で米国経済はひどいダメージを受けており、GDPは未だコロナ前の水準を回復していません。政府、中銀による政策の下支えは当面不可欠です。
財政政策はそれなりにでると思いますが、ねじれにより経済対策は小規模になり成立まで時間もかかりそうです。一方で金融政策はかなりの長期間据え置きが予想されます。
FRBの理事、地区連銀総裁らの予想では、現時点で2022年までは利上げがないことを示しています。これは23年は利上げするというよりもそれより先の見通しを出していないだけで今の経済の回復ペースでは23年以降も金利据え置きのままでもおかしくないです。
市場は利上げに非常に敏感になっていますから、実際の利上げよりも早く動く可能性がありますが、それでも2021年中はほぼ据え置きでしょう。低金利の継続は株価にとってはプラスです。
リスク要因の洗い出し
このままの状態であれば年間で株価は上昇すると見ていますが、当然一本調子で上がるとも思っていません。また、大きく下落する局面も十分あると思っています。リスクは上振れ、下振れどちらもあります。
・FRBのさらなる金融緩和
・議会が大型対策で合意or全くまとまらない
・米中対立の激化→関税引き上げ
・コロナ感染再拡大→2020年春と同じレベルロックダウン実施
・民主党人事で左派台頭→GAFA規制本格化
・大企業の倒産
・米中対立の激化→TSMC等の半導体ファウンドリと米企業の取引停止
・FRBが利上げ前倒し
リスク要因の分類
リスクを洗い出すだけならやっている人が多いですが、せっかく記事を書いているので一歩踏み込んで言及してみたいと思います。
上振れリスク(FRBのさらなる金融緩和)は特に面白みはないので、下振れリスクに絞ってみます。
具体的には、下振れリスクの蓋然性、発生した時のインパクトの大きさで分類してみたいと思います。
個人的には下振れリスクには2種類あると思っています。一旦株価が下落するがすぐ値を戻すイベントと長期的な下落トレンドつながるものです。ある程度長い期間保有する投資家にとっては下落トレンドに転換するようなリスクが起きた場合に一旦利食ったり、場合によっては売却することが必要です。
逆に株価の下落要因になっても短期で収束するリスクもあります。この時は買い時だと言うことです。
議会の景気対策協難航 確率高 リスク低
これは、あまり気にする必要のないリスクで、発生したら株価の下落を見て買い場を意識します。
まだ大統領選挙、上院議会選挙ともに結果が確定していませんが、上院はほぼ拮抗しています。
上院での多数党がどちらになるかわかりませんが、いずれにせよ票数は拮抗していますし、話がまとまりにくいことには変わりないです。
現在はねじれ状態が続くので金額、内容について両党が合意できる部分で経済対策がとられることが織り込まれています。
リスクとなるのは、合意にこぎつけた景気対策法案が否決された時です。2008年のTARP否決の時のように誰もが決まると思っているものが決まらなければ株価は大幅下落するでしょう。
但し、このレベルであれば気にする必要はないと考えています。経済はまだ回復していませんし、財政支援が必要なのは明白です。
しかも、今回の景気後退の原因は新型コロナですが、きっかけとなったのはロックダウンによる経済活動の停止です。
モラルハザードが起きたわけでなく、人の手で止めたわけですから、支援しないという理由が見当たりません。
しかも決めるのは政治家ですから、有権者の利害に直結する法案に真っ向から反対する議員はいるとは考えにくいです。
最終的には景気対策は実施されることには変わりないですから、この要因による株価下落が起きても気にせず買っていこうと思います。
ちなみにほとんど考えられませんが仮にまとまらず全く景気対策をうたないということになれば二番底すらあるほどのリスクに発展します。
コロナ感染再拡大→2020年春頃と同じレベルでロックダウン再導入 確率低 リスク高
これはけっこう下振れリスクの中では起きる可能性が比較的高く、しかも注意が必要なリスク要因です。
バイデンはコロナ対応でトランプの対応の拙さを批判していました。
トランプは春以降感染再拡大しても特に対策はとりませんでしたが、バイデンはトランプとの差を見せるためにも感染状況によってはきつめのロックダウンをする可能性があります。
ただ、春頃のロックダウンは本当に経済にとって深刻な打撃を与えましたからさすがにバイデンもあのレベルでやる可能性はないと考えています。
仮にやる場合は大型の景気対策もセットになりますからなかなか現実的ではないです。
が、正直コロナはどうなるかわからないので一応警戒しておく必要があるでしょう。
FRBの利上げ前倒し 確率低 リスク中
これは、今マーケットが織り込んでいるよりもFRBが早期に利上げに踏み切ることです。
これは株価は一旦大きめに調整すると思いますが、それほど長い調整にはならないと思います。利上げできるということはそれだけ経済状況がいいということだからです。
FRBは少し前に平均インフレ率目標を採用しました。具体的言うと、以前はインフレ率+2%を目指していたのですが、平均+2%に変更しました。
どういうことかというと、以前はインフレが2%に到達するあるいは到達しそうになったら利上げしていましたが、今は過去2%に到達してなかった期間も含めて平均が2%を到達するまで利上げしないということを明確にしました。
ただし、これは市場での評価はイマイチです。なぜなら、平均の期間を明言していないので昔と比べてどのくらい低金利が長期化するかわからないからです。
平均インフレ率目標の導入前の議論では少なくとも数年単位で考えられていました。そうするとかなりの長期化が予想されますが、実際にはそこが曖昧なままですのでもしかしたらすぐに利上げしてしまうかもしれません。
現在、FRB内の見通しよりもやや早めに景気回復していますからこのまま順調にいけば意外と早く利上げしてしまうかもしれません。そうなれば低金利を追い風に上昇してきた株価は冷水をぶっかけられることになります。
ただ、最初に述べたようにそれだけ景気が回復している証拠でもありますから調整は比較的短期間で終わる可能性が高いです。
その他 確率極小 リスク極大
あとは現実的にはほぼ起きないと考えているものです。が、万が一起きてしまったら一旦ポジションを売却するレベルのものです。まぁ頭の体操みたいなものだと思ってもらえれば良いです。
・民主党人事で左派台頭→GAFA規制本格化
民主党のエリザベスウォーレンが重要ポストについた時に意識されるとは思いますが、現実的には厳しいかと。現在の米国の仮想敵国は中国です。これは民主党でも変わりありません。そんな時に自国のもっとも強い企業を叩きのめす選択はとれないでしょう。
・大企業の倒産
これもないと思っています。景気対策のところで書いたように今回の景気後退はきっかけはコロナですが直接の要因は人の手で経済活動をストップしたことです。
今の経済は財政、金融を思いっきり出しまくってなんとか保っている状態です。大企業を倒産させれば雇用が失われますし、金融市場にも相当なショックが起きます。
2020年3月に政策総動員を決定した時点で、コロナ禍が終息するまでは財政、金融政策はほぼ無制限に出すことが決まったようなものですからこれをひっくり返すことはまずしないでしょう。
・米中対立の激化→TSMC等の半導体ファウンドリと米企業の取引停止
米国がファーウェイへの米国製品禁輸措置をとっているので米国にとって一番何を止められたらきついかなと考えた時に、台湾のTSMCと米企業の取引を止められることかなと。
TSMCはApple、NVIDIA、AMDなど米企業が軒並み半導体の製造を発注しています。これが止められたらスマホやPC等の生産に壊滅的な打撃が与えられます。
ただ、台湾企業に中国が口出しすると香港の時とは全く次元が違う内政(中国からみれば)上の問題が発生するのでほぼ妄想に近いシナリオですね。
時間がある時に現実的なリスクやほぼ考えられないようなリスク要因を洗い出して本当に起きたら自分のポートフォリオはどうしたらいいのか考えておくのは大事だと思います。