ダウが30,000ドルを突破しましたね。ニュースを見ててもSNSを見ててもお祭り騒ぎです。長期投資において短期的な上昇はそれほど重要とは思いつつも上がっていればうれしいもの。
ですが、こんな指摘を見た人もいるんじゃないでしょうか。
「株価の上昇ほど経済状況は良くなっていないから株価上昇は正当化されない」
今回はこの指摘に対する私の考えを紹介したいと思います。
結論から言うと、今の局面では株価と経済状況が乖離していることについて私はあまり心配していません。
株価と経済状況の乖離はしょうがない
確かに今はコロナで経済が大きく落ち込んだ後の回復期にあります。
ワクチンの開発が順調だからと言って実際に世界中に普及するのはまだ先でしょう。そういう意味では、世界経済がコロナ前を回復するのはまだ先と言えそうです。
そう考えることは自然だと思います。通常、景気が悪いとモノやサービスが消費されません。
当然、企業業績も悪くなりますので株価は下がるんです。1980年以降の景気後退期の株価を見てみると下落しているのがわかります。


ただ、このグラフから一つ重要な事実を読み取ることができます。それは株価は景気後退期の最中に底を打っているということです。
1980年以降だと2000年の景気後退期以外は灰色の景気後退期に上昇に転じています。
これはなぜかというと投資家は企業が将来稼ぎだす収益に対して投資してるからです。
景気の悪くなり始めると収益が減ることを見越して株を売却しますが、景気が底を打つ(打ちそう)というポイントを察知すればすぐにまた仕込みだします。
今の株価や経済は大規模な金融、財政政策が出続けることが大前提
なぜ、景気が底を打ったと判断されているのでしょうか。それは、中央銀行、政府が絶対に企業をつぶさないという意思で政策を打ち続けているからです。
3月にFRBが政策金利を一気にゼロまで引き下げて量的緩和も無尽蔵に行うと表明しました。さらに財務省と協力して企業に直接資金を供給するような今まで見たこともない政策も実施しました。
さらに政府は失業者に対して元の所得を上回るくらいの補助金を渡したりしています。
しかも、今回はリーマンショックの時と比べてこうした政策が一気にでたおかげで悪化したとは言え底打ちまでの早さは段違いです。
実際にリーマンショック時と比較してみましょう。リーマンショックの時も当時は過去最大の金融・財政政策が打たれました。


これらの政策には批判もありますが、ここで企業がつぶれてしまうとその回復にさらに大きなコストがかかってしまいます。
そのため、ブレーキをあまりかけずに政策を打ち出し、経済のさらなる悪化を食い止めているわけです。
ですのでコロナが収束したと言えるくらいまで企業の破綻は最優先でさけてくるでしょうし、基本的に政策が途切れるということは考えられないです。
なのでマーケットは二番底リスクを意識することなく、「いつかはコロナが収束して元のように経済成長する」ということを見越して買い進めているわけです。
今後の株価は?
ワクチンが現実味を帯びてきたことでコロナ収束への期待が高まっています。しかしながら、世界的に普及するにはまだ時間がかかりそうですし、基本的にはまだ経済が正常化していないので金融・財政政策は必要な状態です。
それでも大統領選挙も終わり、年明けには経済対策が実施されると思いますし、FRBの低金利政策も現時点では2023年まで維持されるとの見通しです。
FRBのみならず、世界的な金融緩和でカネ余りの状態が続いています。余剰マネーは基軸通貨を持つ米国の資産に流れやすいです。
しかも、バイデンが大統領選挙に勝利したことで米中対立などコロナ前に最も意識されていたイベントもひとまずはこれ以上悪化しないだろうとの思惑もあるので市場の警戒は和らいでいます。
つまり、米株にとっては非常良い状態が続きそうということです。
まとめ
・過去は経済が回復しきっていなくても底打ちすれば株価は上昇
・経済は底を打ったけどまだ支援は必要な状態
・金融財政政策はコロナ収束まで引き締めに転じられない可能性が高い
・ワクチンに現実味がでてきたうえ、米中対立のリスクへの警戒心も和らいでいる
・株価にとっては非常に良い状態が続きそう